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マグニトゴルスク 明暗分ける東西の境

2009年08月12日

 ロシアのウラル山脈南端のふもと、鉄鋼コンビナートの企業城下町で知られるマグニトゴルスク。その市域を二つに割って南北に流れるウラル川の橋を渡ると、中央に目につく標識があった。

 意味は「ここで欧州終わり、ここからアジア」。ウラル山脈はロシアをアジアと欧州に分ける象徴。この街では、その山脈に源を発する同川が欧亜境界という。

 街は、その境ではっきりと表情を違える。西の欧州が住宅商業地で東のアジアが広大なコンビナート。「欧州に住んでアジアへ通うんです」。街で知り合った人は、どこか誇らしげに話してくれた。

 だが「なぜ、こんな配置に?」と聞くと顔が曇った。「ここは常に西風。コンビナートの排煙被害を受けないよう、風下のアジアに工場を置いた」

 それでもかつては公害が大問題に。今は経済危機でコンビナートが街の停滞の源でもある。「アジアはつらい所」とその人。複雑な思いがした。 (中島健二)