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マニラ オンがオフレコ仕様

2009年08月09日

 「ヒンディ・コ・アラム…」(知りません)。フィリピン外務省の記者会見。タガログ語がまじり始めると、この高官が興奮し始めた証拠だ。

 会見は完ぺきな英語で始まる。しかし、面倒な質問をぶつけられるうちに、高官のこめかみがぴくぴくと動きだし、少しずつタガログ語の占める割合が上がっていく。

 フィリピンの知識人はきれいな英語を話すが、話に熱がこもってくると彼らの脳内で自動的にスイッチが入り、言葉が入れ替わってしまう。

 外務高官もスイッチが入ったようで、タガログ語でまくしたてている。この日の外国人記者は私一人。だれも気にする様子はないし、そもそも言葉が変わったことに気付いていないかも。

 スイッチオンの部分に本音や面白いセリフが出てくるので悔しい。大事な会見では「きょうはスイッチが入りませんように」と祈っているのだが-。 (吉枝道生)