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ロサンゼルス 国境の苦難示す標識

2009年08月24日

 ロサンゼルスから車で南に約2時間走るとメキシコ国境だ。数車線もあるフリーウエーを走っていると、道路わきの妙な標識に気づく。女性が子供を引き連れて走っているような絵だ。

 日本から来た友人は、何の標識か全く分からないと言う。そうだろう。「横断者に注意」の警告とはまず理解できまい。

 中南米から富を求めてやってくる移民には入国ビザなど持たない者も多い。不法な手段で米国に入境し、当局に発見されると逃げ回る。中には、子供を連れた母親もいる。逮捕されるのを恐れてフリーウエーを横切り、高速で走ってくる車にはねられる事故が後を絶たないのだ。

 経済不況もあり、米国側は国境監視を強めた。夜間でも、赤外線による暗視で警戒している。半面、麻薬組織に買収される当局者も最近増えているといい、国境を越える不法移民は減る気配を見せない。 (野口修司)