2009年05月27日
ドイツの元特攻隊員から手紙が届いた。米軍爆撃機に戦闘機で体当たりしたドイツの特攻隊について以前に書いた記事が単行本になったので、要旨の独語訳を付けて送ったことへの礼状だった。
自らの体験が取り上げられたことへの感謝とともに、「ヒトラーという言葉には驚きました」と複雑な心情が記されている。本の題名は「ヒトラーの特攻隊」だった。
ドイツで兵士の戦いを語る時、「ヒトラー」の言葉を使うのは相当の注意を要する。ヒトラーの指揮下で戦ったとはいえ、決してヒトラーのために戦ったわけではないという思いがあるからだ。
「ですが、本で詳しく書かれたようで安心しました」と元隊員。「呼吸の発作が進んでおりますので」と短い手紙をわびている。現在85歳。もう長くは話せない。話を聞く最後のチャンスだったのだとの思いをかみしめた。
(三浦耕喜)