2009年08月30日
「あなたの取材目的は、何ですか?」
四川大地震から一年。被災地で女性警察官に呼び止められた。
中国当局は国内メディアに地震の検証報道を禁じ、外国メディアには「記者の安全」を理由に取材を妨げた。彼女も、外国人記者の対応の仕方を事前に指示されたのだろう。が、メモを単に棒読みしただけ。こちらが「地震一年の取材です」と答えると、ほほ笑みながら「面倒をおかけしました」。
線香を手向ける遺族を取材すると、今度はいかつい顔をした公安関係者に取り囲まれた。「また来たか…」。うんざりしながら見渡すと、その中に数日前、日本語を教えてやった警察官の姿が。
以心伝心。彼は仲間らに「この記者はおれの大事な友達だ」と一言。男たちは無言でうなずき、それぞれきびすを返した。この上ない助け舟に「ありがとう」と右手を上げた。返ってきたのは「ドウイタシマシテ」ではなく、「コニチハ」だった。 (朝田憲祐)