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ニューヨーク 偏見が生んだ若い死

2009年09月12日

 「黒人でなければ、50発も撃たれて殺されることはなかった」

 3年前、ニューヨーク市クイーンズの路上で、丸腰の黒人青年ショーン・ベルさん(23)が警官に不審人物と見なされ射殺された事件。その悲劇を繰り返すまいと遺族らが先日開いたシンポジウムで、参加者の叫びが耳に残った。

 ベルさんに50発の銃弾を浴びせた警官3人は無罪となり、現在も勤務を続ける。同市では10年前にも、ギニア移民の男性が財布を取り出そうとして、銃と勘違いした警官4人に41発を撃たれ死亡した事件がある。この時も警官側は無罪だった。

 人権団体が入手した市警の統計では、職務質問や任意の身体検査対象となった市民のうち、9割が黒人とヒスパニックだった。黒人大統領が誕生した米国だが、警察の人種偏見は根深い。下手に反抗すれば命を失う現実がある。あちこちの街角に、抑圧された怒りと恐怖が潜むことを実感した。 (加藤美喜)

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