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ソウル 真空技術で充実人生

2009年09月23日

 韓国人と世間話をすると、よく「キムチが新型インフルエンザを予防する」という話題になる。

 「空っぽだからこそ新しい知識や人が入ってくる。真空は人生の原理と似ています」。更けゆくソウルの夜。韓国の真空ポンプ製造会社の会長は杯を持つ手を休め、哲学的な言葉をつぶやいた。

 真空ポンプは、半導体製造工程のほこり除去などの核心。金重朝(キムジュンジョ)会長は韓国の半導体産業の急成長に貢献したと表彰され、今月中旬には国際半導体製造装置材料協会のトップに就任する見通しだ。

 「生まれて最初にお乳を吸うのはバキューム方式。真空技術は、つまり生命の根源」

 北朝鮮の日本海側、元山(ウォンサン)出身。朝鮮戦争ただ中の1951年、5歳だった金氏は自由と安全を求める親に連れられ3カ月かけ釜山までの約700キロを歩いた。

 ベトナム戦争当時は戦場で韓国軍兵士をなぐさめる楽団のドラム奏者。死線をさまよったことも。日本の産業界に知己が多いという63歳。柔和な笑顔で苦労より「真空の夢」を語る姿に、底知れぬパワーを感じた。 (福田要)

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