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カリラヤ 花輪続ける会の思い

2009年10月15日

 「鹿児島歩兵71連隊戦友会」。フィリピン中部カリラヤで開かれた戦没者慰霊祭に花輪を出した唯一の戦友会だ。ずらりと並ぶ他の花輪は、現地の日系組織や企業などのものばかり。

 実はこの戦友会、もう活動していない。フィリピンに住む同会代理人・斎木一さん(68)によると、会員は既に数人で最も若い人でも八十八歳。「皆、年配で、こちらには来られない」という。

 斎木さんによると、同連隊は昭和19(1944)年、ルソン島に上陸。激しい戦闘と飢えの中で兵士らは次々と命を落とし、補充も含めた5500人のうち、日本へ生きて帰れたのはわずか600人だった。

 会は活動を停止した。しかし「この地でどれほど多くの日本人が亡くなったのか忘れないでほしい」との思いで、今も花輪を出し続ける。この国で戦没した日本人は、彼らの戦友も含め50万人に上る。 (吉枝道生)