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阿里山 快速を願う復旧作業

2009年10月24日

 この7月、台湾中南部の景勝地、阿里山を訪れた。日本統治時代に開通した阿里山森林鉄道にゆらり揺られて約4時間。2186メートルの標高差があり、急こう配をらせん状に進む「ループ」と、ジグザグに向きを変える「スイッチバック」で上っていく。

 始発の嘉義駅からしばらくはバナナやビンロウ畑が広がり、南国ムード。標高が上がるにつれ植生も変化し、やがて杉やヒノキの林に包まれる。頂上から望む御来光も見事だ。最高峰の玉山(3、952メートル)がくっきり浮かび上がる様は荘厳だった。

 その1カ月後、森林鉄道は台風8号でズタズタに寸断された。長期運休は確実。鉄道会社は「元通りに復旧できるかどうかも分からない」。加えて「その時、御来光が見られて良かった。訪台8年目にして初めて見た、という日本人がいるぐらいだから」。

 今後も大勢の人に体験してもらいたいだけに、復旧を応援せずにはいられない。

 (栗田秀之)