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ワシントン 悪戦苦闘の営業マン

2009年10月22日

 「ハーイ!」。いきなり屈託のない笑顔で声をかけられた。私の隣に腰を下ろす男性が誰だか思い出せず、あやふやな笑みを返すと、相手は「えっと…どちらの大使館の方でしたっけ?」。やはり初対面だった。

 ワシントンへ赴任してから、知り合いを増やすのに苦労している。パーティーや講演会に顔を出して名刺交換しても、親密になるのは難しい。

 最近、米民主党系の研究会に通い始めた。軍関係の専門テーマも多く、参加者は比較的少ない。それだけにじっくり話し込める。

 ドイツ系の軍事部品メーカーの幹部というこの男性は、集まる各国大使館の駐在武官に自社を売り込むのが狙い。米軍関係者の講演では最前列で耳を傾ける。「米軍の方針がわからないと商売にならないから…」。彼の頼みの防衛予算を絞り込もうとするオバマ政権。軍需企業の営業マンは必死なのだ。

 (嶋田昭浩)