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ジャマイカ 大地を駆ける可能性

2009年10月27日

 「故郷はすごい田舎だけど、道端でいろんなスポーツをして遊んだ。あの村で育って本当に楽しかった」

 世界最速の男、ウサイン・ボルト選手が英紙に語ったインタビューの一節に、目がとまった。いったいどんな村だろう。そんな思いで訪れたジャマイカ北西部のシャーウッド・コンテント村。ロバに乗った男性が道を行き交い、なたを持ったおじいさんが道端でココナツの実をのんびり食べていた。

 ボルト選手の通った小学校。トラックはなく、原っぱが広がるだけ。近くの坂道で、はだしの子どもたちがパタパタと駆けっこを始めた。「前はクリケットが一番人気だったけど今は断然陸上だよ」。大きな目の少年が弓矢のポーズでニッコリ笑った。「ウサインはいっぱい練習するから速いんだよ」「ヤムイモを食べるからだよ」。同じ坂道を走り、世界の頂点へと駆け上ったウサイン少年。元気に走る子どもたちの背中に、無限の可能性を重ねた。 (加藤美喜)