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カトマンズ 現実を生き記憶風化

2009年10月28日

 ネパールの首都カトマンズ郊外、パタン。17世紀に造られた寺院が立ち並ぶ中、赤、青、黄色と色鮮やかなひときわ新しいチベット仏教寺院があった。わきのガタガタ道を抜けると、チベット人約700人が暮らす難民キャンプ。1959年のチベット動乱以降に避難してきたという。

 おばあさんに声をかけると、「ダライ・ラマ」とほほ笑む。カメラを向けると、「2ルピー(約2.5円)」と手を出した。観光地のネパール人僧侶と同じ姿に、思わず苦笑い。

 欧州の民間非営利団体(NPO)の援助でできたキャンプの家屋は小ぎれいだ。同じく援助で設立した工芸品販売所で働くソナさん(30)は「暮らしぶりは悪くない」と話す。

 キャンプ生まれで、かの地は近くて遠い。「だって、旅券がないから。悪いのは中国政府。中国人は嫌いじゃないわ」。隣でいとこ(24)がうなずいた。Tシャツには「チベットを救え」の文字。祖父(70)はじっと黙っていた。 (小坂井文彦)

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