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鉄原 実るほど…格差 悲し

2009年11月12日

「平和を祈りながら走ろう」というマラソン大会が、朝鮮戦争の激戦地だった江原道の鉄原(チョルウォン)であった。

1年半前に友好社の支局長に誘われて以来、走るのが楽しみになった。今回も支局長から「秋の田園風景と地元住民の応援が素晴らしい」と勧められ、参加を決めた。

出発地点こそ駐車場だったが、すぐに見渡す限りの田んぼが目の前に広がった。黄色く染まり始めた稲穂が頭を垂れ、道端のピンク色のコスモスはランナーが通り過ぎるたびに揺れた。地元の若い女性から「アボニム、パイティン(お父さん、頑張れ)」と声援を送られ、気分良く自然と手を振っていた。

大会の参加賞は白米だった。韓国は今年もコメが豊作だが、需要減によるコメ余りは深刻な問題だ。一方、軍事境界線の向こうは今年も食糧不足が確実視される。この格差はなぜ起きたのか、南は北にコメを渡せないのだろうか…。田んぼを見ながら思いは尽きなかった。 (築山英司)