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モスクワ 差別意識カットして

2009年11月11日

自宅近くに中央アジア、ウズベキスタンから出稼ぎに来た若者たちがハサミを握る理髪店がある。店構えは狭くて汚いが、腕前はそこそこだし、カット250ルーブル(約750円)という安さもあって、半年ほど前から足を運んでいる。

先日も利用したのだが、知人のロシア人女性に「彼らは教育レベルが低いし犯罪組織のメンバーも多い」とあきれられた。「彼ら」といっても直接知っているわけではなく、出稼ぎのウズベキスタン人は、という意味だ。

モスクワでは昨年来の経済危機で、解雇された出稼ぎ労働者を中心に中央アジア系住民のロシア人への反発が強まっていると伝えられる。不安は分からなくもないが、ロシア人の根底にある中央アジアへの差別意識をかいま見たようで少々、気が重くなった。

近所にはカット5000ルーブルのロシア人経営の美容院もあるが、当分は映画好きの店主の無駄話を楽しみに、彼らの店へ通おうと思っている。 (酒井和人)