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金門島 歴史を決めた第一弾

2009年11月23日

 「あの一発がなければ(中台間の)歴史が書き直されていただろう」

 1949年10月、福建省アモイ沖の金門島に上陸を図った中国人民解放軍を国民党軍が撃退した「古寧頭の戦い」から60年。島北側の入り江に押し寄せた解放軍の船団に向かって、戦車から最初の砲弾を放った熊震球さん(78)は振り返る。

 中国大陸での国共内戦で連戦連敗だった国民党軍。既に毛沢東が北京で中華人民共和国の成立を宣言しており、蒋介石の国民党政権は大陸撤収を間近に控えていた。18歳の熊さんは「金門で負けたら台湾は終わり」と腹をくくった。

 「目を血走らせて」撃った砲弾がさく裂した敵船には弾薬が積まれていた。爆発し、未明の暗闇を明るく照らして、攻撃を容易にした。「台湾にとっての天意だった」

 以来、台湾はアモイからわずか約10キロ沖の金門島を一貫して支配し続けている。

 (栗田秀之)