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上海 『検閲』も障りなく…

2009年12月06日

 オバマ米大統領の初訪中の地は上海だった。過去、米大統領の訪中はいずれも北京が先。上海の識者は「経済重視の姿勢」と分析したが、対話相手は大企業幹部ではなく大学生。「若者の意識変革こそが中国を変える、という米側の戦略だ」と米国人記者は言う。

 対話集会は約40分。中国のネット規制を暗に批判するシーンもあったが、全体的に当たり障りのないやりとり。それでも、女子学生が「大統領と握手できて光栄」とはしゃぐなど、多くが好意を抱いたようだ。

 集会はインターネットでも中継され、新華社通信のサイトが対話を逐次公開した。米メディアは「ネット規制批判の部分が“検閲”で欠落した」と報道したが、中継時に欠落はなかった。一時的に削除があったのかもしれないが、翌日も全文を閲覧できた。

 ただ、中継は不測の事態に備えた「数秒遅れ中継」で、訳文掲載も数分遅れ。検閲がなかったわけではない。 (小坂井文彦)