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花蓮 100年の歴史たどる道

2009年12月03日

 台湾東部の花蓮県吉安郷には、日本統治時代、徳島県の吉野川流域などから日本人が移民した。来年、移民百年の式典が行われる。その吉安郷で最近、興味深いサイクリングコースが誕生した。

 移民村の中心部に1917年に建てられた真言宗吉野布教所(現在は慶修院)や開村記念碑、先住民族アミ族の七脚川(チカソワン)集落、アミ族頭目の家など約10カ所を巡る8.5キロ。自転車の貸出料は150台湾元(約400円)。のどかな農村をゆったり回れる。

 実は移民が始まったのは、日本軍がアミ族を武力で制圧した七脚川事件(08年)の後だった。住む場所を追われたアミ族は、現在は車で10分ほどの場所に移住した。それが七脚川集落だ。

 サイクリングコースは、約100年前に衝突した日台の関連施設をたどっていく。頭目の家では奥さんに「近く民宿も始めるから泊まりに来て」と日本語で誘われた。歴史に思いをはせずにはいられなかった。 (栗田秀之)