2010年01月15日
台湾の馬英九総統が重要な公務で現地に赴くと、ほぼ例外なく内外メディアが殺到してもみ合いになる。そこで登場するのが警護の面々。総統の周囲から記者やカメラマンを遠ざけていく。
総統の目の前にたどり着き「シャッターチャンス!」と思った瞬間、彼らに何度も背中のリュックサックを引っ張られた。こちらも負けじと前に出ると、居丈高に「どこのメディアだ」。彼らの立場も分かるが、つい感情的になってしまう。
こうした攻防は、8月の台風災害を受けた被災地の視察現場で特にすさまじかった。
ところが、先の統一地方選で、総統が候補者と共に商店街を練り歩き支持を訴える「桃太郎行列」では、彼らの態度は一変した。なんと、握手をする総統と民衆のほほ笑ましいツーショットを撮らせようと、背中を後押しするではないか。
いつもは火花を散らす相手だけに「謝謝」と言うのもはばかられ、苦笑するしかなかった。 (栗田秀之)