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マルセイユ 街に付加価値つけて

2010年02月19日

 二〇〇〇年式のルノー高級車が三百ユーロ(約三万九千円)から-。「市長公用車として丁寧に手入れされていた」との説明で、お値打ち感が高まった。

 年代物の事務机が二十ユーロから-。こちらは「かつて市内の学校で撮影された名作映画の一場面に映っている」というふれこみだ。

 フランス南部マルセイユの市役所が年末年始にインターネット上で開催した競りは国内外の人気を集め、車は予定価格の九倍、机は二十四倍の値で売れた。不要になった備品百七十三点が計四万ユーロでさばけた。

 備品の再活用とか財政の一助にという目的もあるのだが、広報担当者は「市のホームページの知名度を上げるのが狙い」と打ち明ける。街のイメージアップと観光客誘致につながるからだ。

 「遊び心が大事」。ゴーダン市長(70)はご機嫌で、この春に二回目の競りを実施すると発表した。目玉は、頑丈なひじ掛けの付いた市長自身のいすという。(清水俊郎)