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プラハ 地元が愛した人情味

2010年02月25日

 昨年末、プラハで訪ねた日本料理店がのれんを下ろした。

 トヨタ自動車系の工場進出とともにオープンしてから6年半、日本企業の駐在員らを中心に愛されてきた。店名に掲げた「那古屋」の通り、みそカツ、どて煮、ひつまぶしと、名古屋メシも人気メニューだった。

 店長の後藤裕三さんは「昨年の売り上げは悪くなかったが、出張族の利用が減り個人的にも帰国希望があった」と話す。

 その人情味あふれる人柄も魅力。「すべてのお客さんの心に残るお店を念頭に頑張ってきた」というだけあって、閉店の日にはビジネスマンだけでなく、通訳で働く邦人から地元カレル大学の教授まで80人が訪れた。

 「これが本当の終わり那古屋です」。しんみり話す後藤さんは2月初めに名古屋へ戻る。「自分も将来利用できる、高齢者向けの食事ボランティアをやりたい」と話してくれた。 (弓削雅人)