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タキシラ 人類の財産 脅かす影

2010年02月26日

 昨年暮れ、イスラマバード北西40キロの世界遺産タキシラ遺跡を1年ぶりに訪ねた。紀元前6世紀から約1000年にわたり栄えた都市遺跡。ガンダーラ様式の源流とされる仏教をはじめ、ヒンズー教やギリシャ文明などの多彩な宗教と文明が混然としている。

 博物館を再訪すると旅券提示を求められた。前回は覚えがなく職員のシャリフさんに聞くと地元警察が「タリバン(反政府武装勢力)の標的になるかもしれない」と厳命したらしい。銃を持つ警備員の数も倍の8人に増えたという。

 偶像崇拝や美術を否定するタリバンは、アフガニスタン・バーミヤン遺跡の石仏やパキスタン北西辺境州スワトの仏像を破壊。仏像や古銭など国内有数の展示物を誇る博物館にも、その脅威が忍び寄っていた。

 昨年の外国人来館者は約400人と、数年前の1割以下。「財政難で遺跡保護や研究もストップするだろう」。シャリフさんのため息は深かった。 (林浩樹)

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