2010年03月30日
「どうしてだめなの。この国には言論の自由があるんでしょ」。警備員に連れ出される途中、その女性(20)が叫んだ。
7日のウクライナ大統領選の投票日。親ロシア派候補が訪れる予定の投票所に乱入し、大声で国の民主化を訴えた女性グループの一人だ。
必死に抵抗する彼女がつかんだのは、近くにいた記者のコート。いっしょに2、3歩引きずられた後、コートから手を離した彼女と目が合った。涙があふれていた。
彼女らは投票所から連れ出された後、地元警察に拘束された。詳しい話は聞けなかったが「この国の民主主義の危機を外国メディアに知ってほしかった」と訴えた。
今選挙で投票に大きな混乱はなく、欧米諸国も民主的だったと評価している。彼女らの叫びは単なる思い込みだろう-と思い込もうとするたび、あの見開いた目に、にらまれている気がする。
(酒井和人)