2010年04月08日
デパ地下の食品売り場でレジに並んだ。順番が来た英国人男性が買い物かごを差し出し「サンキュー」と言った。
レジ係の女性も「サンキュー」と言って受けた。女性が商品をレジ袋に詰めるのを待ちながら、男性は「サンキュー」と。袋を受け取り、再び男性は「サンキュー」。女性も「サンキュー」と笑顔で応じた。
ロンドンの店先では「サンキュー」で成り立つ会話が珍しくない。英国言葉の研究によると、売り手が客にこびないことが背景にあるという。客が先にありがとうの言葉をかけるのは不思議だったが、なるほど「お願いします」の感覚だ。
出身階級で言葉遣いまで違うとされる英国人だが、日常生活では一人一人の人間は対等だという意識が強い。レジ風景もそんな思いの表れか。ぼんやり考えていると自分の番が来た。そうだ、まずは「サンキュー」を忘れないように。 (松井学)