2010年05月07日
米国が台湾への武器売却を決定した1月下旬、台湾の国防部(国防省)は陸海空軍の軍事訓練を各地で行った。大型連休となる春節(旧正月)期間中の安全を台湾民衆にアピールする恒例行事だ。
台湾海峡、南部の高雄沖での洋上訓練では、締めくくりに軍艦の甲板上で乗組員たちが福を呼び込む伝統の舞を披露した。台中の空軍基地では、戦闘機へのミサイル装着訓練の後、士官夫妻が報道陣の取材に応じた。新竹の陸軍基地では、顔を迷彩色に染めた女性兵士がカメラマンの要求に応じてポーズをとっていた。
どこかほのぼのとした空気が流れていた。台湾メディアも訓練そのものではなく、伝統の舞や女性兵士を主に伝えていた。
ただ、訓練はまぎれもなく中国を仮想敵国としている。その中国は台湾に向けた1300基余のミサイルを配備する上、軍備拡張を続けている。冷徹な事実を思うと、ほのぼの感は急速にしぼんだ。
(栗田秀之)