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台北 弾圧の記憶忘れぬ味

2010年05月17日

 国民党政権が多数の台湾人を虐殺した1947年の「2・28事件」。父が犠牲になった台北市の李栄昌さん(77)一家は毎年3月10日の夕食に、スルメイカのおかゆを食べる。

 李さんの父は日本の中央大で学んで弁護士となり、事件当時は台北市の弁護士会長だった。国民党の武力弾圧はエリート層を狙い撃ち。李さんの家族は外出もままならなかった。

 3月10日夕、食べるものに困っていると、隣人がスルメイカを譲ってくれた。おかゆにして食べようとしたところ、突然憲兵が自宅に踏み込み父を連行。父はそのまま行方不明に。

 事件から63年。記憶の風化を危惧(きぐ)する民間団体が追悼行事を開き、大勢の参加者がスルメイカのおかゆを食べ当時に思いをはせた。李さんは「台湾が良くなる日まで毎年食べる」。「台湾が良くなる日」。李さんにとってのその日は「台湾独立の日」だ。

 (栗田秀之)

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