2010年06月02日

　モスクワの街中を歩いていて、警官の姿を見かけると少々、緊張してしまう。

　汚職のまん延ぶりで世界に名だたるロシア警察。幸い、個人的にはまだ経験がないが、何かと難癖をつけられ、金銭を要求されたという話は枚挙にいとまがない。

　先日、交通取り締まり中にわいろを受け取った警官が同僚に見とがめられ、紙幣をのみ込んだというニュースがあったが、これは例外。汚職が表面化することはめったにない。知人のロシア人は「わいろを同僚にも渡せば問題にならなかったのに」と笑った。

　以前、話を聞いた現職警官によると、わいろは半ば、手当とみなされており、職務に熱心な警官ほど懐に入れるわいろの額も多いのだとか。その警官は「汚職を無くすには給料を３倍にすればいい」と真顔で語った。

　メドベージェフ大統領は今年から本格的な汚職撲滅キャンペーンを始めたが、道のりはどうにも遠そうだ。

　（酒井和人）