2010年05月31日
とかく説明不足を批判される台湾の馬英九総統。中国との自由貿易協定(FTA)に当たる経済協力枠組み協定(ECFA)をめぐってもそんな指摘が相次ぐ中、総統が出席し初の住民説明会が台北市で開かれたが、うんざりした。
開催場所は馬総統がかつて住んだ地区で、いわば地元。主催は与党国民党の立法委員(国会議員)で、つまり仲間。集まった住民の多くも国民党支持者だ。会場の入り口では参加者にお菓子を配っており、あぜんとした。
「これでは実のあるやりとりは期待できないな」と思ったが、案の定だ。馬総統が登場すると割れんばかりの拍手。「お帰りなさい!」の声も。同席した閣僚の説明も自画自賛ばかりで、野党民進党批判も出る始末。
住民の質問も「ずっと支持するぞ!」。説明会というより、まるで馬総統の激励会ではないか。身内にくるまれてぬくぬくするのは総統にとってもプラスにならないと思うのだが。
(栗田秀之)