2010年06月11日
ドーハで開かれたワシントン条約締約国会議では、リビア代表が存在感を発揮した。
立派な口ひげを蓄え、ゲームキャラクターの「マリオ」みたいな顔をした人。大西洋・地中海産クロマグロ禁輸案の議論では、沿岸のマグロが減ったと訴える欧州に対し「賢いマグロが好きな国を選んで泳いでいるだけ」と新説を唱えた。サメの取引規制案の審議では「サメを食べると物忘れがひどくなる」と断言。医学的根拠は不明だが、規制案賛成の理由らしい。
想定を超えた変化球で相手をのけぞらせるスタイルは、最高指導者カダフィ大佐の演説にそっくり。リビア代表がマイクを握ると、記者室のモニターテレビの前は黒山の人だかりとなった。
マグロ禁輸案は、リビア代表が好きなだけしゃべった末に「議論は尽くした。採決を」と求め、否決された。情勢有利とみて早期採決を願っていた日本への貢献は大。マグロ好きの人は、リビアに足を向けては寝られまい。
(内田康)