2010年06月10日
「ようこそ。素晴らしい街でしょう?」。今月上旬、記者証を見た市民に電車や店の中で何度も話しかけられ、決まってこう問われた。
「ところで、何でまだいるの?」
当地で開かれたパラリンピック。開会前は、五輪が終わったのになぜいるのかと、地元でさえも知名度は低かった。「パラリンピックの取材です」というと、これまた多くが「ああ、“パラ・オリンピック”ね」と名称を間違えていた。
でも大会が始まり実際に競技を見た人の目には焼きついたはず。全盲のスキーヤーがバイアスロンに挑み、射撃で満射を繰り返す。両足のない選手がチェアスキーに乗り、五輪と同じコースを猛スピードで滑り降りる。アイススレッジホッケーや車いすカーリングも見ていて熱くなった。
機会があればぜひ生で競技を見てほしい。人間の可能性に心底驚かされるはずだ。 (加藤美喜)