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レガスピ 人為退けて悠久の美

2010年06月23日

 フィリピンのルソン島には富士山がある。同国中部レガスピ近郊にそびえる標高2,421メートルのマヨン山。かつて日系移民が「ルソン富士」と呼んだ美しい山だ。

 ほぼ完全な円すい形で、フィリピンでも最も美しい山といわれる。その姿を見に行こうと現地の知人に聞くと「最も美しいのは飛行機から見た姿だ。左の窓側の席を取るように」と助言された。

 教えてもらった通り上空からの姿も見事だったし、地上から見た神々しい姿にも心を打たれた。今はほそぼそと噴煙を上げるだけだが、昨年末には小噴火と溶岩流出が続き「大噴火間近か」と約5万人が避難する騒ぎとなった。

 美しさの理由の1つは、延々と広がるすそ野に人工物が一切ないことだ。地元の人にそう言うと「当たり前だよ。危険だもの」と笑われた。言われて辺りを見渡すと、町の周囲も火山灰や溶岩に埋まっている。人の命をも奪う自然の脅威が、変わらぬ美をつくりだしている。 (吉枝道生)

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