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モスクワ 夢も散らす負の連鎖

2010年04月29日

 19歳だという女子大生は4本の赤いカーネーションを置きながら、さめざめと泣いていた。多くは語ってくれなかったが同級生が犠牲になったのだという。花を束ねたリボンには「あなたを忘れない」と書かれていた。

 モスクワ地下鉄駅での連続爆破テロで現場の1つとなったルビャンカ駅。事件から2日後のホームで大勢の人たちが花束や鎮魂の祈りをささげていた。

 今回の事件で自爆した2人は夫を殺された17歳と20代の女性とされる。若い命を自ら散らし大勢の人々の命を奪うほどの、どんな恨みがあったのか。

 テロは北カフカスのイスラム武装勢力の犯行とみられるが、モスクワでは無関係の女性がカフカス系の外見というだけで殴られるケースも出た。迫害を恐れてか、地下鉄利用を控えるカフカス系の人たちも増えている。

 悲しみ、恨み、差別…。事件の全容解明はまだだが、テロが負の感情しか生み出さないことだけは確かだ。

 (酒井和人)

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