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バタック 元夫人の終わらぬ夢

2010年08月17日

 「私はもう怒りから自由になっているの」。そう話していたフィリピンのイメルダ・マルコス元大統領夫人に、初めて怒られた。

 同国北イロコス州バタック市の自宅で話を聞いていた。「ちょっと予定があるので」と立とうとすると、ガシッと腕をつかまれ「まだ終わっていません。最後までちゃんと聞きなさい!」。

 前回、彼女に会ったときは三時間半話を聞いた。今回は側近に「10分だけ話したら帰るから」と何度も念を押したのに、怒られたときには既に1時間以上が経過。その後しばらくしてやっと話を切り上げたら「食事を用意してありますので、続きは食卓で…」。

 過去の美しい思い出と、いまだ実現していない多くの夢が80歳の元ファーストレディーの頭の中に詰まっている。彼女の家を辞して出て行くと側近から連絡が入った。「まだ話したいことがあるから出掛ける彼女の車に乗ってほしいって…」。もちろん、断れなかった。 (吉枝道生)

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