2010年08月19日
「ヨウイ、ハジメ!」の日本語の合図で、さまざまな人種、民族の子どもがパチパチパチ、シャーと、せわしなく指を動かす。ニューヨーク郊外で開かれた「ソロバン・コンテスト」の会場だ。
日本人ら東アジア系が半分。残りは白人、黒人、ヒスパニック系、インド系など。保護者席で思わず「どこでそろばんのことを聞いたのか」と聞くと、ほとんどが「学校で計算が速いのはいつも日本人。そろばんが秘けつと聞いた」と口をそろえる。
ウォール街に勤めていたという母親は「日本人の同僚が、指先を動かすだけで計算を終える“手品”をしていた。息子にも習わせたかった」。
難解な金融技術で世界をけむに巻いたウォール街でも評判の「東洋の魔術」。そういえば最近、米金融当局に「詐欺」とされた名門証券会社の商品名は「アバカス(そろばん)」だったが、偶然ですよね。(阿部伸哉)