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ベルリン 開幕前の皮肉な運命

2010年06月06日

 「ショッキングな情報です」。ドイツのテレビは、サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会を前に代表チーム主将バラック選手がけがで欠場することになったニュースを流し続けた。

 タックルを受け、右足首靱帯(じんたい)を断裂した。33歳。名実ともに代表チームの精神的支柱だった。3度目の出場で栄冠を狙える最後のチャンスともいわれていた。

 「残念だが、これがサッカーだ」と、本人は落胆を抑えるようにコメントしたが、収まりがつかないファンも。けがの原因となったタックルを仕掛けたのがW杯の一次リーグでドイツと対戦するガーナの代表候補選手だったからだ。この選手はドイツ出身で、弟もドイツ代表候補に選ばれたと報道されていた。

 「最悪の悲劇だ」「戦いはこれからだ」。何とも皮肉な出来事に、首都の酒場はビール片手のファンの議論が終夜続いていた。 (弓削雅人)