2010年09月01日
深夜にずれ込んだ欧州連合(EU)の記者会見。地元テレビ局のカメラが記者席の自分に近づいてくる。眠気をこらえメモを取るふりをした。
映像が放送されたら視聴者に「日本の記者が真剣にニュースを追っていた」との印象が伝わるのだろうか。
ところが、カメラマンと、その助手は「おや? 間違えた」という表情を見せると、すぐに次の被写体に向かった。目で追うと東洋人の記者たちがいた。テレビ局が注目したのは、EUと貿易や外交関係を深める中国の記者の姿だったらしい。
記者室に戻ると、偶然隣り合わせたのも中国の報道陣だった。一団の中には通訳兼助手らしいアフリカ系の青年がいた。異色の組み合わせかと思い「中国語を話すのですか」とあいさつしてみた。
青年は英語で答えた。「今の時代、中国語は避けて通れない。アフリカへ働きに来る中国人も多いし、身近な国ですよ」。明快な説明に、うなずくしかなかった。 (松井学)