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日月潭 日中台結ぶ紅茶産地

2010年08月31日

 台湾中部南投県の景勝地、日月潭。周囲を1000~2000メートル級の山々に囲まれた台湾最大の湖で、山水画のような風景が人々を魅了する。馬英九政権の対中融和政策の下、一昨年7月に全面解禁された中国人観光客にも人気のスポットだ。

 湖の北側に広がる盆地は、台湾紅茶の産地でもある。日本統治時代、群馬県利根村(現・同県沼田市)出身の技師、新井耕吉郎氏(1904~46年)が魚池紅茶試験支所(現・茶業改良場魚池分場)を設立し紅茶産業を発展させた。

 分場に新井氏の功績をたたえる記念碑がある。湖畔のホテルの総支配人、陳銀城さん(59)は日月潭の魅力や歴史を知ってもらおうと観光客を分場に案内し、台湾の茶業発展に貢献した新井氏の存在にも触れる。

 すると「中国人観光客も記念碑に向かってお辞儀するんですよ」と陳さん。通常の観光では見過ごしそうな場所で日中台が一瞬つながるひとときがある。 (栗田秀之)