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モスクワ 『カチン』で『ビシッ』

2010年09月24日

 モスクワの書店で最近、よく日本の漫画を目にする。一、二年前まで隅っこに置かれていたものだが、先日、自宅近くの書店に出掛けたら、目立つ場所で五~六種類が平積み。自分が持っている漫画もあったので、購入して見比べてみた。

 訳はかなり忠実だが興味深かったのは擬音表現の違い。ロシアでは「ドカッ」「ガシッ」などに当たる表現がないようで片仮名をそのまま残し、「ドカッ」(たたく音)などとルビが振ってある。泣き声の「ヒック」はロシアでも「フニック」といい、かなり近いが、これなどは例外だ。

 表現豊かな日本の漫画文化の素晴らしさを支局のロシア人スタッフにも説明しようとしたら「漫画は子供が見る(読む、ではない)ものです」とバカにされた。

 これには少々「カチン」ときて、三十分ほど「ビシッ」と反論させてもらった。(酒井和人)