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ソウル 離散1家の悲劇今も

2010年10月02日

 明治大学に在学していた1950年に朝鮮戦争が勃発(ぼっぱつ)し、自ら志願して韓国側で参戦したソウル在住の男性Aさん(83)に会った。今は北朝鮮の領土である地域で生まれ、母を残し宣教活動をしていた父がいる東京に12歳で渡った。

 戦争中に韓国陸軍の士官学校で学び、初級将校として国軍に入隊した。北朝鮮兵士が撃った弾丸が腹部を貫通し、九死に一生を得た経験もある。

 52年4月のサンフランシスコ講和条約で日本が主権を回復すると、日本の再入国拒否に遭い、Aさんは韓国への定住を決心。北朝鮮に残る母とは最期まで会えず、東京の父との再会は20数年ぶりとなった。

 Aさんは記者に、最後まで出身地を明らかにしなかった。「北朝鮮に知れると、遠い親せきに被害が及ぶ可能性もある。韓国にもまだ、“赤”がたくさんいる」。激しい戦闘は今も、参戦経験者の心の中で続いているのか、と思った。 (城内康伸)

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