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ローマ 犬の運命もさまざま

2010年10月11日

 「やっと元の調子に戻ってきたよ」。久しぶりに集合住宅の隣人ルーカに出会う。夫人から肺炎で入院したと聞いてはいたが、身長190センチ近いがっしりとした体躯(たいく)が1回りも2回りも縮んだように見え、たじろいだ。

 いつも一緒の中型犬が見えない。「ペペは?」と聞こうとして慌てて口をつぐんだ。家人から口止めされていたのを思い出したからだ。愛犬は、年金退職した主人が入院すると散歩に出るのを渋り始め、家族が誘ってもトイレにも外出しなくなり、餌も拒否し主人の退院直前に亡くなる。隣家とは以来、犬の話はタブーとなった。

 忠犬ハチ公の米国版映画「ハチ」が当地でも公開され愛犬家の涙を誘っている。イタリア全土で2200万匹と推定される飼い犬だが、飼い主にとってはそれぞれが「ハチ」。一方、バカンスの足手まといを理由に毎夏15万匹が路上に捨てられる残酷もこの国の現実。全国の野良犬の数も80万匹を超える。(佐藤康夫)

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