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北京 大ヒット映画の理由

2010年10月15日

 世界中で大ヒットした米SF映画「アバター」を、公開直後からしのぐ勢いで観客を動員している中国映画がある。1976年7月に発生し、約24万人が犠牲になった河北省の震災を舞台にした「唐山大地震」だ。地震で生き別れになった母娘が、苦難を乗り越え再会するストーリーで、被災者の苦悩と家族愛がテーマ。

 公開直後、北京の映画館は、上映を待つ観客で人だかり。映画館の前には、ダフ屋までたむろしていた。

 「今年一番の感動作」という評判通り、2時間あまりの上映時間中、館内はすすり泣きで包まれていた。

 その一方、ブランドの中国酒が不必要に画面いっぱいに映し出されるなど広告も盛りだくさんで「被災者に失礼だ」との批判も。

 広告以上に残念なのは、映画館の9割以上がこの映画しか上映しないこと。他の映画を見る選択肢がないのだから、「そりゃ大ヒットするさ」とも思ってしまう。(池田実)