2010年10月23日
中国甘粛省の土石流被害の取材の際、西安の空港でチャーターしたタクシー運転手はなかなかの強者(つわもの)だった。
「被災地の舟曲に行きたい」と告げると、「よし分かった」と自宅に戻り、自家用車のナンバーを別のナンバーに付け替え。「大丈夫か」と尋ねると「大丈夫」と自信満々。高速を180キロでぶっとばし、路肩からの追い越しは当たり前。
舟曲に入った橋での検問は、警官に「中国中央テレビの記者を乗せている」とうそをつき通り抜け。次の検問で止められると車を放棄し、消防の緊急車両を無理やり止めて乗り込んだ。おかげで行きは約2キロ歩いただけで現場にたどり着いた。
電話会社にネット回線を借りる時は運転手自身が「北京から来た記者」になりきっていた。
違反は違反。だが、順法精神が染み付いた日本人には到底かなわない、中国人パワーを見せつけられた。(安藤淳)