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メラ 海をも越えさす親心

2010年10月24日

 日本が「第三国定住制度」で初めて受け入れるミャンマー難民をタイ北西部のメラ・キャンプで取材した。9月末の来日を控えた5家族の渡航前研修をのぞくと、「わたしの名前は○○です」「おなかが痛いです」などとすらすら日本語を操り、とても始めて1カ月とは思えなかった。

 「ここまで上達するなんて。思わず涙が出ました」とは、研修の世話をする国際移住機関の日本人女性。日本語の前に行った文化研修で、両親が持つ日本のイメージや知識に驚いたからだ。

 例えば「地震は週に1回あるのか」とか、「日本の会社では病欠が許されないと聞いたけど…」という質問が飛び出したり、「私たちは火山の横に住むのですか」という心配さえしていたらしい。

 そんなおどろおどろしいニッポン行きを決意させたのは、どの両親も「子どもの未来のため。私たちはどんな苦労をしてもいい」。海を越えた親の目に未知の国はどう映るのだろうか。 (林浩樹)