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フェニックス 移民置き去りの論戦

2010年10月30日

 州独自の移民法制定で、不法入国者取り締まり強化を目指す米南西部アリゾナ州。州都フェニックスを訪ねると、相変わらず街角のそこかしこで「不法移民」と名乗る人たちが職探しをしていた。

 「アリゾナから出ないのか」と聞くと「検問は高速道路でやっている。下手に車で動いたらその方が危ない」とのこと。この時期に逃げ出す人はほとんどいないそうだ。「別の州への移住は、金融危機による不況で2年前からとっくに始まっている」ともいう。

 この現実は、米主要メディアでは報じられない。出てくるのは「移民法の必要性」を訴える地元保安官や州知事と、「合法移民にまで偏見が広がる」と非難する反対派の論客。熱い論戦の後に出てきたのは「メキシコ系がアリゾナ脱出を開始」という取材実感とまったく違うニュースだ。

 米国では中間選挙が迫る。過激な言論や政策が飛び出し、テレビは対立をあおる。肝心の現場を置き去りにして。(阿部伸哉)

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