2010年11月02日
中朝国境の街、吉林省図們の駅前で、北朝鮮の金正日総書記を待ち構えていた。中国のマスコミは、金総書記が帰国するまで報道を控えている。なのに夕方になると、なぜか市民も集まってきた。
「いつ着くんだい」。駅前の雑貨店で、男性が尋ねると、女性主人はぶっきらぼうに「午後6時半だよ」。すると、ぴったりの時間に特別列車が到着した。中国の口コミ恐るべし。駅員が身内に教えた情報があっという間に回ったのだろう。
吉林省都の長春でも、駅に金総書記が到着しそうになると、市民が集まってきた。おじいさんに「なぜ知っているの」と尋ねると、「何となく。正確な時間は悪いヤツしか知らないけどな」。汚職官僚の意味だろうか。
ただ、口コミも絶対ではない。同省の延吉では、タクシーの運転手が「北のトップかい。白山ホテルに泊まってるよ」。おいおい、マスコミの宿泊先だよ。もちろん、まったくの誤報だった。(小坂井文彦)