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ボルティモア 日本語だと難解に!?

2010年11月02日

 「ずいぶん油くさいなあ」と思った。米東部メリーランド州の公式サイトで、入漁料の要らない釣り場を調べ同州最大の都市ボルティモアのウオーターフロント公園を訪ねた。周囲は工業地帯。目の前には大型船舶。バケツで海水をくみ上げると焦げ茶色だった。

 それでも釣りざおを振って仕掛けを飛ばすと、幼稚園ぐらいの白人の男の子と女の子が群がってきた。「やらせて!」。妻がさおを貸す。「えさはプランクトン?」と女の子。今では日本の幼児も平気で「プランクトン」を口にするのかもしれないが、自分はそうでなかったから驚いた。

 でも、英語のプランクトンは、とてもやさしい言葉なのだろう。昔、学生時代にヘーゲルの「止揚」という哲学用語を習った。分かったような分からないような概念だ。後年ウィーンへ留学して、止揚の元のドイツ語アウフヘーベンが「拾い上げる」という日常語と知った。輸入されると何でも小難しく響きがちだ。 (嶋田昭浩)