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ブリストル 気持ち切り替え見事

2010年11月04日

 ロンドンから西へ1時間半、港町ブリストルへ向かった。歴史上は奴隷貿易で栄えた町だが、今回は欧州最大の熱気球大会を取材するためだ。プロパンガスを使った近代的熱気球の誕生から50年、150の熱気球が空高く上がる予定だった。

 1つ、2つと気球が膨らみ始めた。日が差し、緑の芝にくっきりと丸い影が落ちる。約10万人の観衆が飛行開始の合図を待った。ところが気球は飛び立たない。そのまま時計だけが2時間進んだ。

 ついに大会主催者が「上空の気流が悪く本日中止」と告げた。待たされ続けた観客の暴動が起きるかもと、カメラ片手に身構えた。

 しかし非難の声は出なかった。騒ぎもない。近くにいた10歳ほどの金髪の姉妹に向かって母親が話しかけていた。「さて風船はおしまい。今からはピクニックよ」

 秋が早い英国だ。なるほど気球大会を名目に、夏の名残を楽しもうとやって来た人たちも大勢いたのだろうと悟った。 (松井学)

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