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上海 こんな時こそ交流を

2010年11月12日

 尖閣諸島沖の漁船衝突事件で船長釈放前、「なぜ、日本は船長を返さないのか」と湖北省の友人から上海へ電話があった。

 「日本の船に故意にぶつけた。日本政府はその映像を持っている」

 日本人の知り合いの多くが中国人の質問に、同様に答えていた。しかし船長は処分保留で釈放され映像も公開されない。「中国人の同僚にうそつきと思われた」と話す人もいる。日本政府の弱腰外交の余波の一つだ。

 事件の影響で友好交流の中止が相次いだ。日中間では常に「友好」が強調される。この二文字を付けなくなるのはいつ?

 頑張る人もいた。江蘇省南京では、日中がもめる最中、日本の留学生と中国人の約百人が中秋節の夕食会を楽しんだ。今年で3回目。呼びかけ人で名古屋に留学経験のある韓金龍さん(50)は「風当たりは強いが、こんな時期こそ民間交流が大切だから」。(小坂井文彦)