2010年11月12日
「こっけい、という表現がぴったり」(ルモンド紙)、「色とりどりの作品で宮殿を席巻」(リベラシオン紙)。パリ郊外のベルサイユ宮殿で開催中の現代美術家村上隆さん(48)の個展に対する賛否両論が、フランスで盛り上がっている。
アニメから着想を得た妖怪像、巨大な金色のかっぱ像、太もももあらわな美少女フィギュア風の人形の存在感は、豪華絢爛(けんらん)な宮殿の装飾に負けていない。
衝撃が強すぎるからこそ「歴史遺産の冒涜(ぼうとく)だ」と極右など一部のフランス人が怒るのだ。でも、それが結果的に宮殿と村上さんの宣伝になっていませんか?
反対派の女性は「ほかに抗議の方法がない」と顔をしかめ、少し考えて付け足した。「それでも構わないわ。この宮殿の素晴らしさを大勢の人に知らせることができるのだから」。集会は、意外になごやかな雰囲気だった。(清水俊郎)