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グランドキャニオン 絶景より心に残る姿

2010年11月11日

 見渡す限りの地平線と青い空。休暇で先日、米アリゾナ州のグランドキャニオンを目指した。ひたすら何もない一本道のハイウエー。運転していると、前方にヒッチハイカーの姿が目に入った。

 男性のようだ。目的地までの数十キロは町も集落もないはず。かなり長い間歩いているのだろう。が、こちらは一人。正直言って危険が先に頭をよぎった。申し訳ないと思いつつ、どうか後続の車に乗せてもらってほしいと通りすぎた。

 追い抜きざま男性の顔が見えた。ネーティブアメリカンだった。4、50代だろうか。その後、道端にぽつんぽつんとアクセサリーを売る女性たちがいた。ナバホ族の居留地だと後で知った。

 一定の自治の中で暮らす先住民だが、居留地にまともな産業はなく、高い失業率と貧困にあえぐ。やがて大渓谷に到着。壮大な景色に圧倒されたが、帰路、頭の中は別の光景があった。あの男性は、無事にたどり着けただろうか。 (加藤美喜)

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