2010年11月22日
東西冷戦の遺物、旧ソ連軍施設跡を探し、ドイツ北東部のブランデンブルク州デルンへ走った。
幹線道を出ると、道は針葉樹の深い森に入り込む。そんなところの道端に、ぽつりぽつりと車が止めてある。林道作業車ではない。普通の乗用車だ。「もしや」と思い、尋ねるとやはり「キノコ狩り」だった。
ベルリンから約1時間かけて来たという老夫婦は「マローネンピルツだよ」と言って、その名の通り、クリに似たキノコを自慢げに見せてくれた。いためて美味の特産「フィファリング(アンズタケ)」よりは肉厚だ。
秋の味覚めぐりの誘惑を断ち切って、探し当てた軍施設周辺にもキノコは生えていた。例のクリキノコだろうか。吸い込まれるように右手を伸ばしかけたところで左手が押し止めた。見分け方も知らないのに…。今夏、湿度が高かった同州で、秋口の1週間に8人もキノコ中毒で病院に運び込まれたと後で知った。 (弓削雅人)